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【予告】ー美と心ー向吉悠睦 木彫展

2018.07.08
皆様こんにちは。ヒカルです。
来週の美術画廊、7月11日水曜日からスタートいたします仏像彫刻の第一人者向吉悠睦先生の個展をご案内いたします。

先人仏師達の技を忠実に踏襲し、創意工夫をこらしながら頂きを目指し研鑽をつまれる向吉先生の待望の個展です。

先生は1961年 鹿児島にお生まれになりお父様の弟子となられます。その後多くの仏師を輩出している松久朋琳宗琳師(京都仏像彫刻研究所)の内弟子として12年間研鑽を積まれ独立。若くして大仏師号を得るなど、多方面で評価が高い、現代を代表する仏師のお一人です。

個展開催前の梅雨の晴れ間、美術部の仲間と大阪市旭区にあります先生の工房「あさば仏教美術工房」へお伺いし、仏像彫刻のこと展覧会出品作品のことなどお話を聞いてきました。


工房に着きますと、まずは2メートルもある木地仕上げの「聖観音胸像」と「十一面観音像」、極彩色の「聖徳太子」が私たちを迎えてくれました。


↑宇宙すべて、人間、自然、天地すべての本質を仏格化した仏様で平安期の初めに密教が伝わり信仰が広まったといわれています。



檜の香りに包まれた工房で向吉先生より①素材・木材について②彫りについて③彩色技法について④仏様の種類について、興味深いお話をたくさんお伺いすることができました。

では、まずは ①材木についてのお話です。
先生の工房では、木曽檜・楠・白檀が主に使用されているそうです。

特に木曽檜は多くの作品で使われています。年輪が細かく軟らかく強度があるのが特徴です。 耐久性・耐水性が高く、使うごとに香りが深まります。 材はまっすぐでつやのある表面を出すことができ、自然の殺菌効果に優れおり、虫が付きにくいのが特徴で、彫刻用材に適した木材だそうです。

彫刻材として使う際の大きさは、直径70センチ以上でないと使用できないとのこと。外側から15センチとにじみ出るヤニの発生を取り除く為に芯の部分半径15センチは取り除くそうです。ですので樹齢は何百年ものとなり、また伐採から1~2年は水に漬け込み、さらに10年から20年の歳月をかけ乾燥させ、その上で木目が揃い、香りが上質で割れのないものが選ばれるのです。また、作品は一木と寄木で作られる場合がありますが、寄木の作品の場合は、必ず同じ山の同じ方角の山肌で伐採された木しか使わないとのこと。生育環境が異なると、はがれたり歪みが生じたりするからだそうです。先生の工房には10トントラック約12台分の木曽檜が貯木(ちょぼく)されています。


↑「聖観音」 桧・截金
東方瑠璃光世界に住するといわれる仏様。病気平穏を願い薬壺を左手に持つ。



次に ②仏様のお姿を彫るお話です。
彫刻で最も大事なのは、四角い木材からいわゆる“芯出し”という段階まで荒彫りする作業です。この“芯出しの荒彫り”が作品の美しい佇まいを決定づけるといわれる為、熟練した高度な技が必要になります。向吉先生は「木も人間と同じで色々な性格の木があります。良い木に出遭うことから私の仕事は始まります。」と仰います。
仏様の姿を掘り出すときは、木と向き合い、木の主張を聴き、性格を知り、熟知する。「木」から「仏」に生まれ変わる瞬間です。
また、彫刻の良さを決めるポイントとしては、「像全体と腕の長さ」「下半身と胸の厚み」「顔の表情と目線」が重要だそうです。 その上で総合的なバランスを見ます。また、手の彫刻は指先の細部に至るまで気を抜かずに彫られているかも重要なポイントとなります。



↑「不動明王」 桧・截金
観世音菩薩、観自在菩薩とも言われる。観音様はその人にふさわしい三十三の姿に身をかえて現れ、苦しみや災難から救い、願いをかなえると言われています。




③彩色の技法について
仏像を仕上げるには、大きく四種類の方法があります。
「木地仕上げ」木地のまま、又は拭きうるしなどにより木目を損なわず仕上げる方法です。今回出品される作品の多くがこの加工です。

「淡彩色仕上げ」ごく薄く溶いた水干絵の具、染料を用い 木地の風合い、美しさを活かした淡く柔らかな印象になります。

「極彩色仕上げ」下地塗りから始め 重厚な彩色を施す技法 木地に貝殻の微粉末である胡粉という白い顔料を膠で練り溶かした絵の具を何層にも重ねてしっかりとした下地を作ります。水干絵具での下塗り、岩絵の具を膠で練り塗り重ね、重厚で美しい彩色を施します。

「仏像彩色に欠かせない金を用いた装飾」
1)箔押し →肌、宝珠、宝冠、瓔珞、腕釧等の部分に使われる金箔を漆で貼り付ける技法
2)金泥蒔き→ 漆を薄く塗った表面に金泥を蒔いてゆく技法、金箔を貼るのとは違う柔らかな表情になります。
3)截金仕上げ(きりかね) →金箔を数枚焼き合わせて厚くし、竹刀で極細く切ったものを貼り文様を描く
今回の出品作品では、向吉悠睦先生の奥様でいらっしゃいます中村佳睦先生の手による截金の細工もまた見所です。悠睦先生が命を宿らせた作像を、佳睦先生がの彩りを加え「佛」として迎える。圧巻の作品が揃います。
4)金泥書き→ 金泥を膠で練り、柔らかな線で自在に文様を描く技法。
このように様々な技法を組み合わせることによって、より複雑で味わい深い彩色となります。


④仏様の種類について
仏様は大きく分けて順番に 「如来(にょらい)」「菩薩(ぼさつ)」「明王(みょうおう)」「天部(てんぶ)」とあります。

「如来」は悟りを開いたもの、また仏法や宇宙の真理そのもの。仏の位としての最高位にあたります。主な尊像は、釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来、大日如来、宝冠の阿弥陀如来などがあります。

「 菩薩」悟りを求め修行する仏様。現世の人々を直接救う現世利益の仏様です。主な尊像は、十一面観音菩、如意輪観音菩薩、千手観音菩薩、弥勒(みろく)菩薩、普賢菩薩、文殊菩薩、虚空蔵菩薩、地蔵菩薩

「 明王」怒りの炎で穢れを焼き尽くす。ほとけ界の熱血漢です。主な尊像は不動明王、降三世明王、軍茶利明王、大威徳明王、愛染明王です。

「 天部」如来や菩薩、明王が人々を教化して救済してくれるのに対して、天部は仏やその教えを護り人々に現世利益の福徳を与えてくれる存在です。主な尊像は梵天、帝釈天、吉祥天、弁財天、毘沙門天、四天王です。



↑「夏の水面」 桧

いかがでしたでしょうか?
今回は少しお話が長くなりましたが、是非、美術画廊へお足をお運び頂き、圧巻の向吉悠睦先生の秀作仏像をご覧ください。
ご来廊心よりお待ちしております。

■略歴 
1961年 鹿児島県に生まれる
1969年 父に彫刻を習い始める
1980年 松久朋琳・宗琳師(京都仏像彫刻研究所)に内弟子として入門
1991年 「あさば仏教美術工房」設立
1994年 高野山勧学院「国宝大日如来レプリカ」制作
1995年 大徳寺総見院に等身「古溪宗陳像」を納める
1996年 大阪大本山法楽寺三重塔内大日如来造仏、高野山根本大塔五智如来像御修復
1997年 大阪大本山法楽寺より「大仏師号」を賜る
1999年 淡路八浄寺に大日如来、七福神を納める、淡路八浄寺より「大仏師号」を賜る
2003年 総本山根来寺愛染院に愛染明王像制作
2004年 奈良壺坂寺に「夫婦観音」を納める
2007年 木彫13メートルのモニュメント作品「桧」4年間で完成しアメリカ・シカゴ美術館へ納品
2010年 東京西新井大師徳壽院に本尊大日如来を納め「大仏師号」を賜る
2012年 NHK大河ドラマ「平清盛」に仏師として出演
2014年 エリッククラプトン氏に毘盧遮那仏龕を納める
2015年 ブータン国王様に「不動明王仏龕」と皇太后様に「ヴァジュラダーラ仏龕」を納める
台湾の台北で高雄で個展
2017年 中山寺に4如来を納める
全国各百貨店にて個展64回

 
ー美と心ー向吉 悠睦 木彫展
2018年7月11日(水)→7月17日(火)
*最終日は午後4時まで
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大阪店6階西ゾーン 美術画廊
直通電話 06−6631−6382
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