TAKASHIMAYA BLOG大阪タカシマヤ

若尾誠先生による列品解説を開催しました!

2019.10.07
皆様こんにちは、美ギナー おもち です。

【若尾誠 作陶展】
2019年10月2日(水)→10月8日(火)
最終日は午後4時閉場
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大阪店6階西ゾーン 美術画廊
直通電話 06−6631−6382
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10/6(日)午後3時より、
若尾先生による列品解説をしていただきましたので、会場の様子とともにお伝えします★

大阪店では6回目の個展開催となります。
前回(5回目)2016年に開催した個展のブログはこちら↓
https://blog-osaka.takashimaya.co.jp/art/post/16081


若尾先生は、長年取り組まれていらっしゃる粉青瓷(不透明で薄い青色)や米色瓷の作品に加えて、
今回は天目もご出品くださっています!

天目、粉青瓷の作品の解説を中心に、作陶についてのお話や、ご苦労をうかがいました♪

まず、若尾先生といえば粉青瓷!

限りなく薄い胎土に釉薬を厚くかけた南宋官窯の青磁作品に魅了され、日々試行錯誤されています。

若尾先生の特徴である不透明な薄い青色になるためには釉薬を厚くかける必要があり、その結果重くなってしまいます。
そこで、全体の重量を少しでも軽く、バランスをとるために胎土は薄く成形されているそうです。
薄すぎて、埃を取ろうと少し力を入れて拭うだけでも割れてしまうことも!!!

土については、この赤みは鉄分由来だそうです。
鉄分を入れすぎると土にコシがなくなり釉薬が流れてしまうため、配合にもこだわっていらっしゃいます。

こちら、釉薬のたまりにご注目ください!

この色について、若尾先生は航跡(船の進んだあとに泡を含んで白っぽくなった水面)の青を写真で見せてくださいました。
まさに、この色!だそうです。
土の深い赤みが青を引き立たせ、さらに、貫入には、ベンガラを刷り込んでいます。

粉青瓷の再現には、研究が不可欠。
800年以上前の、官窯のものや建窯の窯変した陶片、天目などの中国の古い陶片をたくさん集めていらっしゃいます。





大小さまざまな陶片にはたくさんの情報が詰まっていて、
釉薬の断面を見たり、時には熱を加えてみたり(!)、内部の構造を探るための貴重な資料となるそうです。
今展のためにコレクションの一部をご持参くださり、ご自身の作品の横に並べての解説となりました!


作陶での変化について、
「昔はキレイであれば正解だと考えていたから、色については青の美しさを突き詰めてきた。
自信作ができた!と思えば、そのかけらをポケットに忍ばせて博物館に行き、
官窯青磁の展示作品と見比べては、何が違うのかをずっと考え続けてきたんです。」

至宝とも称される作品を多く所蔵される台湾の故宮博物院でも比べていたそうです!

「ある日、東京国立博物館で青磁輪花鉢の色を見て、品格が大事だと気付き、
そこから少しずつ変化してきました。」
ただ美しいだけでなく、長く見ていられる青、を目指すようになったそうです。


また、造形についても若尾先生の美への探求が垣間見えます。

たとえば、茶碗について…
ポイントは
どの角度から見ても違う形になること
だそうです!





「粉青瓷茶碗」

ヒトの表情のような作品ですね~
手の中で動かしながらどんな景色が出てくるのか…鑑賞の醍醐味です!

青磁の作品では、これまで端正さを求めて左右対称のものが高く評価されてきました。
そのイメージを覆すような作品を、と心がけていらっしゃるそうです。
本年も伝統工芸展では茶碗で4年連続、計13度目の入選となりました!!

ご自身の根底になっているもののひとつに、国宝の卯花墻(志野茶碗)があります。
ご出身が多治見市で、長く美濃の焼き物に親しんでこられました。
「考えはじめてから、ここまで、やっと形になってきました…美濃に生まれたからにはいつか志野をやりたいです」
と笑顔で語っていらっしゃいました。
どんな作品が登場するのか、今後がますます楽しみです!!!



そして、話題は天目に…
いまだに作り方が解明されておらず、まさに美術におけるミステリーともいえる天目。
陶片から得られる情報を集めながら、日夜研究されています。



「禾目天目茶碗」



「油滴天目茶碗」




「油滴天目茶碗」

国宝として伝わる茶碗と、日本の土と釉薬との違いについてはまだ研究段階ですが、
「今回は天目の土がざらっとしていて、その上で釉薬のかかった表面にピンホール(穴)が全くない、というのが難しいんです!」
とのことでした。
今後はより細かい土を使って作陶してみる予定です、と更なる進化を望む意欲的な先生でした♪

あまりにも奥が深すぎて、解決しないほうがロマンチックな気がしてきます…!!!!

釉薬の特殊性ゆえに、現代で、特に海外の陶芸家には高台の造りにまでこだわる作家は少ないそうですが、
若尾先生は我々が見ることのできない内部の造形にまでこだわっていらっしゃいます。
ちなみに高台は「すり鉢を逆さにしたようなつくり」になっているそうです。
割れた断面から研究していなけば、知り得ないことですね!


ご参加いただいたお客様には、実際に天目と粉青瓷をならべて、手にとって比較していただきました。
お客様から多くのご質問が飛び交うなど、和やかな雰囲気で大変盛り上がったイベントとなりました!



美術画廊では、先生方の人間性も含めてより作品を身近に感じていただけるようさまざまなイベントを不定期で開催しています。
鑑賞される際の情報の密度がグッと上がり、とても濃密な時間となります!
今後とも、開催の折には皆様のご参加をお待ちしております♪
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