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【予告】日本画家 佐々木 真士の作品とエッセイ 紹介 ②

2020.09.02
皆様、こんにちは。ヒカルです。
まだまだ、残暑厳しい日が続きますが、いかがおすごしでしょうか。

先日こちらのブログでご紹介させていただきました
『日本画家 佐々木 真士の作品とエッセイ ①』に続き、シリーズ第2本目のご案内です。




火葬場
佐々木真士

 インドの村や町には、川沿いに火葬場をもつ寺が必ずある。そこでは生と同じように死もありのままにさらけ出されている。遺体は薪で燃やされ、その灰は家族によって川に流される。伝統的に墓はなく、死者を自然に還すことがヒンドゥー教の一般的な弔い方となっている。

ベナレスにも二か所の火葬場がある。その一つマニカルニカ・ガートには黒々と煤けた五堂式の寺院があり、そこからガンジス河の水際までが火葬場となっている。次々と運ばれてくる遺体を焼く火が絶えることがない場所である。人を焼いているところを描くことには躊躇したものの、この聖地でも特に重要なガートであり、避けずに取り組むことにした。

 マニカルニカ・ガートには、至る所に燃料の薪が積み上がっていた。そして、死者を焼く白い煙がいくつも立ち上っていた。遺族は煙と炎に包まれた遺体を、静かに慎み深く見守っていた。女性は入れないのかそのほとんどが男性である。そして、傍らには次の番を待つ遺体が布にくるまれて置かれていた。他の場所のように腰を下ろして写生することはできなかった。歩きながら様子を観察し、裏道に行っては写生に手を加えることを繰り返した。

 しばらくすると、小柄な青年が近づいてきた。一瞬身構えたが、ラーマと名乗るその青年は意外に好意的だった。誘われるままについて行くと、火葬場の横に建つ建物へと案内してくれた。ここで火葬されることを望む人が、命が費えるまで暮らすための場所だと説明を受けた。入り口が薪の山に隠れていて分かりづらく、地元の人と一緒でなければとても入れない場所である。3階建ての建物の窓にはガラスがなく、殺風景な部屋を風が吹き抜けていた。私が入ったときは、老婆とその家族が一組いるだけだった。

 屋上に上がると火葬場の様子がよく見えた。こちらの疑問を察してか、ラーマは色々と説明してくれた。布にくるまれた遺体は一度ガンジス河の水に浸してから焼くこと、薪は金額によってその量が異なること、死者の生まれや階級により焼く場所が決められていることなどであった。近くの住人であるラーマにとっては、この火葬場も日常の一部のようだった。

 日が暮れて辺りが暗くなってきたため、写生を終え建物の外に出た。昼間とは違い、火葬の炎が闇に印象的に浮かび上がった。喜びも悲しみもついえた人間の最後の瞬間に立ち会っていることに、不思議な感動があった。陰鬱さを感じなかったのは、本人が望む最期を家族の手厚い関わりによって遂げているからなのかもしれない。このガートで火葬されたものは、輪廻の苦しみから解脱できると云われている。煙と灰になって昇天するかのような死者の姿に人間も自然の一部であることを実感した。

火葬場を写生したのはこの一度きりである。

 

*掲載作品の題名は「落日」 、サイズはWSMです。

■略歴
1976年  広島県生まれ
1996年  第48回京展(京都市美術館) '05 '06
1999年  京都芸術短期大学研究生修了
2001年  個展(ギャラリーRAKU/京都)  '05 '08
2004年  NEXT展 招待出品(京都高島屋/砺波市美術館)
2008年  The NIHONGA(京都文化博物館 )~'10 ‘12~‘18
      京都美術ビエンナーレ 朝日新聞社賞(京都文化博物館 )
2009年  Nihonga・京
(日本橋三越/東京、'11~'14JR大阪三越伊勢丹巡回)~'18
2010年  京都日本画新展(美術館「えき」KYOTO)'11
2012年  京都美術・工芸ビエンナーレ毎日新聞社賞
             (京都文化博物館)
              第5回東山魁夷記念日経日本画大賞展
             (上野の森美術館/東京)
2013年  第2回Artist Group風(東京都美術館)’16 ‘17‘19
2014年  花信風―第2回Artist Group風小品展―
           (高島屋/東京、大阪、京都)‘17’18‘20
2016年  個展「大河のうた」(ギャラリー恵風/京都)
2017年  第35回京都府文化賞奨励賞
             第4回続日本画新展(美術館「えき」KYOTO)
2019年  Seed山種美術館日本画アワード2019(山種美術館/東京)

佐々木先生の作品&エッセイのシリーズ掲載、次回も是非ご覧ください♪
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直通電話 06−6631−6382
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