創設110年を超える髙島屋美術部「もっとお客様に美術の楽しさを知っていただきたい」「お客様の身近にアートを感じていただきたい」そんな思いから大阪髙島屋6階、美術画廊・ギャラリーNEXTから発信するブログ「It Art! なんば美術手帳」作品を通し、たくさんの出会いを結ぶことができますように・・・。
美ギナー おもち です。
髙島屋大阪店では2度目の開催となる秋永邦洋展をご案内させていただきます
漆黒の、骨格標本のような工芸作品が並んでいます。
会場に訪れた多くの方から「鉄ですか?」というご質問が。
陶芸の作品なんです、とご説明すると皆様驚かれます‼️
過去には抽象的な立体作品を制作されていたこともあるそうですが、
2012年ごろから現在の作風となったそうです。
等身大のドローイングを描き、パーツごとにデフォルメしたものをアウトラインを意識しながら図案化、
さらに型紙を起こして手びねりで成形→施釉→焼成→骨格の形に組み立てをされています。
装飾された骨格は、人間の欲望と儚さを表現しています。
さて、骨格を作品にしようと思った背景には、
2011年の東北大地震が大きく関わっているそうです。
大きく価値観が変わりつつあるいま、
「本質」が見えにくくなった現代を表そうという意図が込められています。
例えば、今まさに私たちが苦しめられているコロナ禍において
あまりにも沢山の情報が時には真逆の主義主張を持って語られたりしている現場があります。
スケルトンにすることで、そういった「中身」について作品を通して鑑賞者に訴えています。
2度目の個展となる今展では、初めて空想の動物たちが登場しました。
(全てを写真で掲載できていませんが、)画廊中央に神獣(もしくは霊獣とも)が4体並んでいます。
美ギナーおもち的には四神(玄武・朱雀・白虎・青龍)かな?と考えていたのですが、
大河で話題となった「麒麟」をはじめに制作、
四神の元となる亀、龍、鳳凰があとから作られて4体となったそうです。
もともとはシルクロード・中国由来の伝説を源流としているので、そもそもは同じものだそうです。
また、これまでは、実在する動物をデフォルメすることはあっても
現実離れしすぎることを避けるために、空想の生き物をモチーフにすることはなかったそうです。
しかしこのご時世柄。
人は有事の際には姿形のないものにすがろうとすることを実感し、
今だからこそ作れる作品を、と制作のきっかけとなりました。
それぞれが独自の解釈を加えた形となっています。
(ちなみに…興味本位でうかがったところ、アマビエは今のところ作られる予定はないそうです。)
それぞれのスケールと緻密な組み立てを、
ぜひ会場でじっくりとご覧ください✨
「擬態化(乾杯)」
「擬態化(鳳凰)」