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日本藝術院会員就任記念 吉野 毅 展

2021.04.18
こんにちは♪
美ギナー おもち です。


【日本藝術院会員就任記念 吉野 毅 展】をご紹介いたします。
今回で4回目の個展開催となります。
前回のブログはこちら↓
https://blog-osaka.takashimaya.co.jp/art/post/15877


静謐な女性像を作風とする創作姿勢には定評があり、
伝統的な具象彫刻に新鮮な味わいを追求し続けている吉野先生の日本藝術院会員就任を記念しての展覧会です。

吉野先生と「夏の終りⅠ」


お話を伺うにあたり、まずはご挨拶を…
静謐な作風からお人柄を想像し、勝手に緊張していた美ギナーへの第一声は

なんと、ノルディックスキーのお話!
しかも、65歳で大会で優勝されたそうですっ!

作家という職業柄かインドアな先生が多い世界ではありますが、吉野先生はとってもアクティブ!!
これまで大きな怪我もたくさんされたそうですが、本当にスキーに夢中なご様子。
「運動神経が良いんだよー」と朗らかなお話ぶりから、すっかり安心しきった美ギナーでした^^




「花」H27W16.5D21.5
幼さの残る頬の丸みが、表情を柔らかく感じさせています。
こちらの作品は、春の風を感じさせる作品で、美ギナーのお気に入りです^^
吉野先生の愛娘さんをモデルとしているそうです。




それでは、肝心の作品と先生のご紹介へ話題を戻しましょう☆



1969年、吉野先生は当時東京藝大の院生でいらっしゃいました。
そのころは、学生運動が盛んな時代だったそうです。
研究室が東大に近く、機動隊まで出動した安田講堂の一連の事件を目の当たりにされ、
学生の暴力的なまでの活力・エネルギーに触れます。

その後、学生運動が刑事事件に発展するなど、
警察をはじめとする大学組織外からの権力による抑制が強く働き、
学生の有り余るエネルギーを発端とする「大学の自治」がなくなってしまった、と落胆したそうです。


「瞬」H45.5W16D15.5
こちらの作品は、三島由紀夫をモデルとしています。
作品のほとんどが女性像のなか、なぜ三島由紀夫なのか…

学生運動が盛んだった当時、お会いしたことがあるそうです。
吉野先生は、この三島由紀夫立像について
「たどり着くには遠い存在」と語っていらっしゃいました。

ブロンズ制作のもととなった石膏像は、三島由紀夫像だけはいつも壊してしまうそうです。
「どうしても完成できなくて、これはライフワークのようになっている」とおっしゃっていました。
それだけ理想化された存在、ということでしょうか…



大学院を修了された後、1970年にイタリアに渡りました。
イタリアやギリシャのあらゆる古典彫刻を観て、そこで挫折を味わいます。

しかし同時に、ヨーロッパ彫刻の様式を模倣することから脱却する必要があると感じます。

その想いが強まったきっかけとなるのが、古美術研究旅行で訪れた飛鳥・天平文化の仏像でした。

古代ギリシャのアルカイク、ヘレニズム文化は日本の飛鳥・天平文化と通ずるものがあり、
また様式は風土から生まれるものであるという思いの中、
現在は、現代女性に仏像のフォルムを組み込み「慈愛と救済」の精神を投影させた女性像を創作しておられます。

今展では、人体像に備わる普遍的な美学の真髄に到達しつつある作品を展開されています。


聖林寺十一面観音鞍馬寺聖観音をはじめ、
飛鳥天平期から室町時代の宗教彫刻に啓発されたと吉野先生ご自身がおっしゃられているように、
その作品は性を超えた神秘性を放っています。


「望」H49.5W13.5D10
今展に出品された作品の中でも、
特に奈良県桜井市・聖林寺の国宝「十一面観音像」に近いのがこの作品だそうです。
力の抜けた、丸くカーブを描くように降ろされた腕は、
わき腹にわずかな空間を持たせ、体の曲線をより際立たせています。

先述したとおり、女性像に観音像を重ねる吉野先生の制作姿勢は1970年ごろに確立されます。

1か月半にわたりたくさんのヨーロッパ彫刻に触れたことで
「圧倒されすぎて、もう辞めたいとすら思った」挫折を経験され、
帰国後さらにその1か月後に、古美術研究旅行で奈良に向かわれ、十一面観音に出会います。

そのとき「腕が動いて見えた」と感じたことをきっかけに、
シルクロードを渡って醸成された「日本の美意識」を見直すこととなりました。
古代の日本人の「渡来してきた文化を昇華する能力」は素晴らしいものだと感じ、
以降、現代女性を仏像に重ねた作風となったそうです。



「想」H42W18.5D40.5


「夏の終りⅡ」H80W80D23
吉野先生は仏像について、国宝とそうでない作品たちとの違いについて
「ほんの一つ、1センチの差」だと言い表していらっしゃいました。
全体に、得も言われぬ空気があること、だそうです。








「聖(ザビエル)」H33W28D23
吉野先生は、胸像制作にあたってのこだわりを教えてくださいました。
こちらのザビエル像、胸の下部分を数センチ「ななめにカット」しているそうです。
(↓横から撮影した、下の写真でわかりやすく見えるかなと思います!↓)

ちなみに、
美ギナーが学生時代嫌というほど見つめたギリシャ彫刻の石膏像では、
どれも地面に台座の全面がぴったり付く形で底が作られていました!

ザビエル像では、斜めに浮かせたことによって、
研ぎ澄まされたリアリティと、人物に動きをもたせる効果があるそうです。

このポイントは、近代彫刻で日本を代表する佐藤忠良氏にも高く評価されたそうです。
ご友人のツテで面会を果たし、お話されたことは昨日のことのように覚えている、とおっしゃっていました。

これまで、人物彫刻といえば表情や衣服のディテールばかり鑑賞していたので、
吉野先生の「具象」への挑戦を垣間見ることができるポイントを知れたことで、
より深く鑑賞できるようになりました!


1970年ごろ、世間では抽象彫刻が全盛でした。
コンクールの入賞作品はほとんどが抽象的だったそうです。
それでも具象にこだわったのは、
作品に言葉をもたせる」ことを目標とし、
抽象/具象のカテゴリーの垣根を超えた彫刻表現の「」になりたいと考えていた、とのこと。

吉野先生の作品に宿る普遍的な美の一端を知ることができました。

ぜひ会場でご覧ください☆


日本藝術院会員就任記念 吉野 毅展
会期:2021年4月14日(水)~4月20日(火)
※最終日は午後4時閉場
※営業日、営業時間は変更になる場合がございます

お電話でのご用命も承っております。
ご要望の際はお気軽に大阪高島屋美術画廊までお問い合わせくださいませ。
お問い合わせ先:06ー6631ー1101(代表)6階美術画廊


<略歴>
1943年 千葉県長生群陸沢町に生まれる
1967年 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
安宅賞、サロン・ド・プランタン賞受賞
1968年 二科展初出品、特選受賞、以後毎回出品(東京都美術館、国立新美術館)
1969年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
1982年 二科展、ローマ賞受賞
1985年 二科展、会員努力賞受賞
1999年 具象彫刻の現在展(高島屋日本橋)
2001年 テラコッタによる個展(高島屋日本橋)
2003年 第88回二科展、文部科学大臣賞受賞
2006年 個展(高島屋日本橋/大阪)
2009年 テラコッタによる個展(高島屋日本橋/大阪)
2012年 平成23年度 日本藝術院賞受賞
2014年 個展(高島屋日本橋/大阪)
2020年日本藝術院会員に就任
現在 二科会会員、多摩美術大学客員教授

パブリックコレクション多数


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